突然の豪雨で、建物内に雨漏りが起きたり、壁の一部にシミができていたりといった経験はないでしょうか。とくにアパートやマンション、商業ビルなどを所有・管理している方にとって、豪雨による影響は見過ごせない問題です。近年は、短時間で大量の雨が降る「ゲリラ豪雨」も増えており、想定外の箇所から雨水が浸入するケースも見られます。
屋上や外壁の防水が劣化したまま放置してしまうと、内部の構造材にまで水が達し、見えないところで建物の寿命を縮めてしまう可能性もあります。被害が出てからの修繕では費用も手間もかかるため、事前の対策や定期的な見直しが重要です。
この記事では、建物の耐久性を守るために必要な豪雨対策について、屋根や外壁、半屋外スペースといった具体的な場所ごとに分かりやすくご紹介します。長く安全に使い続けるためにも、今一度ご自身の物件の状態を見直すきっかけにしてみてください。
建物の寿命を縮める豪雨の影響とは
集中豪雨やゲリラ豪雨といった急激な降雨は、建物にさまざまな悪影響を与えます。とくに築年数が経過した物件や、定期的な防水点検を行っていない建物では、雨水が建物内部に浸入しやすくなっていることがあります。ここでは、豪雨が建物の劣化を早める主な要因について整理します。
雨漏りや浸水による内部劣化
室内への雨漏りは、天井や壁にシミができるだけでなく、内部の断熱材や木材が湿気を含むことで腐食やカビの発生につながります。特にコンクリート造の建物では、一見問題がなさそうに見えても、躯体内に雨水が入り込むことで鉄筋の錆びや膨張が起き、構造体の劣化が進行する場合があります。豪雨時の一時的な雨漏りでも、繰り返されることで重大な損傷へとつながるリスクがあります。
外壁や屋上の防水層へのダメージ
雨が直接当たる屋上や外壁は、防水性能が劣化しているとダイレクトに被害を受けます。たとえば、外壁のシーリング材が紫外線や気温変化でひび割れていると、そこから水が浸入しやすくなります。また、屋上では防水シートや塗膜が劣化していると、雨水が排水されず溜まりやすくなり、長時間の水たまりが素材をさらに傷める原因になります。これらは見た目だけでは気付きにくく、被害が広がってから発覚することが多いのも特徴です。
カビ・腐食・シロアリ被害への発展
豪雨による湿気や浸水が建物に残ったままだと、カビや腐食の原因になるだけでなく、シロアリ被害につながる恐れもあります。特に木造部分では、湿気を好むシロアリが集まりやすくなるため、基礎や柱の強度が著しく低下する危険性があります。また、カビは室内空気の質を悪化させるだけでなく、入居者の健康にも影響を与えることがあるため、賃貸物件や施設では早めの対応が求められます。
豪雨対策が必要とされる背景
ここ数年、短時間で局地的に大量の雨が降る「線状降水帯」や「ゲリラ豪雨」の発生が増加しています。これらの気象現象によって、都市部や住宅地でも予想を超える浸水や雨漏りが発生するケースが目立ってきました。とくに古い建物やメンテナンスが不十分な物件では、少しの雨でも深刻な被害に発展することがあるため、事前の備えがますます重要になっています。
近年の気象変動と豪雨災害の増加
気象庁によると、過去数十年の統計を見ても、日本では「1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨」の発生回数が年々増加しています。これは温暖化によって大気中の水蒸気量が増えていることが一因とされ、今後も同様の傾向が続く可能性があるとされています。こうした背景から、建物の防水性能や排水能力が、かつてよりも厳しく問われるようになってきました。
短時間豪雨がもたらす建物被害
短時間での降雨は、排水設備の能力を超えてしまうことがあり、屋上やバルコニー、外階段などに水が溜まりやすくなります。その結果、水が逆流したり、想定していない部分から浸水するリスクが高まります。また、地面からの水の跳ね返りや風による吹き込みも、外壁の劣化や内部への水の侵入に繋がります。従来の雨対策だけでは不十分になるケースが増えているのが現状です。
放置することで拡大するリスク
小さなひび割れや、わずかなシーリングの劣化などは、初期の段階では目立たないものですが、放置すると雨水の侵入経路となり、やがて建物全体の構造に影響を及ぼします。また、一度雨漏りが発生すると、原因の特定が難しく、補修範囲が広がることで修繕費も高額になりがちです。定期的な点検と早めの対応を行うことで、こうした被害の拡大を防ぐことができます。
屋根・屋上の防水対策を見直す
建物の中でも特に雨の影響を直接受けやすい屋根や屋上部分は、防水対策の状態次第で建物の耐久性に大きな差が出てきます。豪雨のたびに排水が追いつかず水が溜まってしまう、あるいは表面にひび割れが発生しているような状態は、雨水の浸入を許しやすく、雨漏りや構造材の腐食につながるおそれがあります。ここでは、屋根・屋上の防水方法やその選び方、管理のポイントについて紹介します。
塩化ビニール防水とウレタン防水の違い
防水工事に使われる素材にはいくつかの種類がありますが、主に使用されるのが「塩化ビニール防水」と「ウレタン防水」です。塩化ビニール防水はシート状の素材を貼る工法で、比較的施工難易度が高いものの、仕上がりに安定感があり、長期間の防水効果が期待できます。一方でウレタン防水は液体状の樹脂を複数回塗り重ねる方法で、凹凸のある屋上や複雑な形状の屋根にも対応できる柔軟性が特徴です。施工環境や予算に応じて適切な方法を選ぶことが、長持ちする防水対策につながります。
屋上勾配や構造に応じた施工の重要性
防水材の種類だけでなく、屋上の勾配や形状に適した施工ができているかも非常に重要です。排水口が1か所しかない、勾配が足りず水がたまりやすい、といった設計では、防水材が傷みやすくなり、劣化のスピードが速まる傾向があります。施工前には現場の状況を丁寧に調査し、水の流れや日当たり、使用されている下地材の状態まで見極めたうえで、防水工法を選定することが求められます。
メンテナンスフリーを目指す防水方法
防水工事は一度行えば終わりというものではなく、経年劣化を前提とした定期的な点検や補修が必要です。ただし、耐候性や耐久性に優れた材料を選び、丁寧な施工を行うことで、次回のメンテナンスまでの期間を長くすることは可能です。たとえば、塩化ビニール防水は耐久年数が長く、メンテナンスの頻度を抑えたい施設やビルの屋上にも適しています。防水施工の段階で、将来的な維持管理のしやすさを見越した選択をすることが、長期的なコスト削減にもつながります。
外壁・窓まわりの防水施工のポイント
屋上や屋根と並んで、豪雨による影響を受けやすいのが外壁と窓まわりです。特に外壁の継ぎ目やサッシ周辺などは雨水が集中しやすく、わずかな隙間があるだけでも建物内部に浸水する可能性があります。見た目では分かりにくい部分だからこそ、適切な施工と定期的な確認が欠かせません。
シーリングの劣化とその影響
外壁の目地やサッシまわりに使用されているシーリング材は、経年劣化によって硬化し、ひび割れや剥離を起こすことがあります。特に紫外線や気温変化、雨風の影響を受けやすい場所では、5〜10年ほどで劣化が進むケースも少なくありません。このシーリングのすき間から雨水が入り込むと、外壁の内部に浸透し、構造材の腐食やカビの原因になることがあります。放置すればするほど修繕範囲が広がるため、早期の対応が重要です。
打ち増し・打ち替えによるメンテナンス
劣化したシーリング材は、「打ち増し」または「打ち替え」によって補修することが一般的です。打ち増しは既存のシーリングの上から新たな材料を重ねて施工する方法で、比較的短時間で行えます。一方、打ち替えは古いシーリングをすべて撤去し、新しい材料で施工し直す方法で、より高い防水効果が得られます。外壁の状態や劣化の進行度に応じて、最適なメンテナンス方法を選ぶことが建物の保全につながります。
隙間を生まない防水設計の重要性
防水施工においては、見た目の仕上がりだけでなく、構造上の隙間を生まないようにする設計も重要です。サッシと外壁の接合部や、異素材が接する部分などは、構造上どうしてもすき間ができやすい箇所です。こうした部分には、建物の動きや温度変化に対応できる柔軟な防水材を使うことが有効です。さらに、施工前に現地の状況を詳細に確認し、微細なすき間にも対応できるよう設計・施工することが、長期的なトラブル回避につながります。
屋内や半屋外空間の見落とされがちな豪雨対策
屋上や外壁に比べて、水の影響を受けにくいと思われがちな屋内や半屋外の空間。しかし、実際には雨水の侵入や滞留が起きやすい場所も多く、長期間放置することで建物内部にまで悪影響を及ぼすケースがあります。日常の点検では見過ごされやすい場所こそ、丁寧な施工と定期的な確認が必要です。
外階段・バルコニーの防水施工
外階段やバルコニーは、屋外にありながらも通路として使用されるため、防水施工の精度が求められる場所です。豪雨時には階段の段差に雨水がたまりやすく、表面にひび割れや隙間があると、そこから雨水が建物内部に侵入することがあります。特に古い建物では、こうした部分の防水が十分に施されていないこともあるため、雨漏りの原因として見直すべき箇所の一つです。
半屋内スペースの水はけと衛生管理
駐輪場やエントランスホールのような半屋内のスペースも、豪雨の影響を受けることがあります。風を伴う雨では、屋根のある空間でも雨水が吹き込み、床にたまるケースがあります。水が引かずに残ってしまうと、コケの発生や床材の劣化を引き起こし、転倒リスクや衛生面の問題にもつながります。適切な排水設計と防水層の確保によって、雨天時でも安全に利用できる環境を維持することが大切です。
小規模な水漏れが与える長期的ダメージ
一見すると被害が小さく見える水たまりやにじみも、長期的には建物に深刻なダメージを与えることがあります。たとえば、コンクリートのひび割れから浸入した雨水が内部の鉄筋を錆びさせることで、構造全体の耐久性が低下することも。こうした初期の症状は日常点検では見つけにくいため、専門業者による定期的なチェックが推奨されます。小さな異常を見逃さず、早めに対処することで、将来的な修繕コストの抑制にもつながります。
定期点検とメンテナンスの必要性
豪雨による被害を最小限に抑えるためには、日頃からの点検と、必要に応じたメンテナンスが重要です。防水材や外壁材は時間の経過とともに少しずつ劣化していくため、問題が表面化する前に対処することが、建物の寿命を延ばすうえで効果的です。とくに降雨が増える季節の前後は、定期的な確認を習慣づけておきたい時期です。
豪雨後の点検で確認すべき箇所
大雨が降ったあとには、まず屋上やバルコニーの排水口が詰まっていないか、外壁や天井に染みが出ていないかなどを目視で確認することが有効です。また、外階段やエントランスなどの半屋外空間も、床面の水はけや滑りやすさなどをチェックしましょう。これらの点検は、日常的な維持管理としても簡単に行えるため、被害の早期発見につながります。
劣化のサインと早期対応のメリット
ひび割れ、シーリングの硬化、塗膜の浮きや剥がれなどは、防水性能が低下しているサインです。これらを放置すると、次第に水の侵入経路が広がり、修繕範囲や費用が膨らむ傾向にあります。早い段階で補修を行うことで、工期やコストを抑えられるだけでなく、建物内部の腐食や劣化を未然に防ぐことにもつながります。特に集合住宅や商業ビルなど、利用者が多い施設では、信頼性の維持という点でも早期対応が重要です。
長期的に建物を守るための計画的点検
定期的なメンテナンスには、「劣化してから修繕する」のではなく、「劣化する前に予防的に対処する」という視点が求められます。5年、10年といったスパンでの防水工事の見直しや、専門業者による点検の依頼をスケジュールに組み込むことで、建物全体の耐久性を維持することができます。結果的に、突発的なトラブルにかかる修繕費を抑えることにもつながり、資産価値を長く保つうえでも効果的です。
株式会社翔和の豪雨対策に関する取り組み
豪雨による建物被害を防ぐには、高度な防水技術と現場に応じた対応力が求められます。株式会社翔和では、これまで6000件以上の防水施工に携わってきた実績をもとに、さまざまな建物に合わせた防水工事を行っています。アパートやマンション、ビルといった大型建築物の特性を熟知しており、状況に応じた最適な対策を提案できるのが特徴です。
6000件以上の施工実績が裏付ける対応力
長年にわたり数多くの防水問題に取り組んできた経験から、豪雨による被害の傾向や、建物ごとに異なる弱点を把握しています。屋上や外壁のひび割れ、排水不良、シーリングの劣化など、現場でよくある課題を一つひとつ丁寧に点検・判断し、適切な施工方法を選ぶことで、高い防水効果を実現しています。この実績は、現場対応力の高さと、再発防止を意識した施工品質の証といえます。
防水専門技術者による診断と施工
翔和では、経験豊富な防水専門のスタッフが建物の状態を詳細に診断し、防水の必要性や施工方法を丁寧に説明します。たとえば、塩化ビニール防水やウレタン防水といった材料選びも、建物の用途や構造、周辺環境を踏まえて最適なものを判断します。また、工事後には目視確認だけでなく、雨水の流れや勾配も含めた最終チェックを行うなど、細部まで気を配った施工を心がけています。
大型建築物に対応した一貫施工体制
一般住宅と異なり、アパートやビルなどの大型物件では、防水工事に求められる計画性や施工管理も高い水準が必要です。翔和では、調査・診断から施工、完了後の確認に至るまでを一貫して行う体制を整えており、管理会社やオーナーの手間を減らしつつ、確実な施工が可能です。屋上・外壁・半屋内空間と、すべての箇所をまとめて対応できる点も、長期的な視点で建物を守るうえで効果的です。
まとめ
豪雨による建物への影響は、表面的な雨漏りだけにとどまらず、外壁や屋上、構造材にまで広がることがあります。特に最近では、短時間で激しい雨が降るケースが増えており、従来の防水対策だけでは対応しきれない事例も見受けられます。
本記事では、屋根・外壁・屋内外の各所における防水の重要性と、定期的な点検や早期対応のメリットについてお伝えしました。建物を長持ちさせるためには、見えにくい場所こそ意識的に点検・整備を行い、必要に応じた補修や施工を行っていくことが大切です。
株式会社翔和では、大型建築物の大規模修繕を専門に、防水・塗装・補修の各工事を一貫して手掛けています。これまでの経験を活かし、それぞれの建物の特性に合わせた最適な施工を提案していますので、豪雨対策を見直したい方はぜひ一度ご相談ください。




