陸屋根は台風に弱いと言われる一方で、「風には強い屋根」と評価される場合もあります。
では実際に、陸屋根は台風(雨と風)に強い屋根なのでしょうか。
それとも注意すべき弱点があるのでしょうか。
この記事では、陸屋根の構造や特徴を整理したうえで、寄棟屋根や切妻屋根などの台風に強い屋根との違いをわかりやすく比較します。
さらに、ガルバリウム鋼板屋根や瓦屋根など屋根材ごとの耐風性、防水工事による陸屋根特有の台風対策、台風後に確認すべきポイントまで解説します。
陸屋根の台風リスクを正しく理解し、被害を最小限に抑えたい方は、ぜひ参考にしてください。
陸屋根は台風に強い?弱い?まずは特徴とリスクを理解しよう

陸屋根は「台風に弱い屋根」と言われる一方で、実は「風に強い構造」を持っています。
ただし、形状の特性から雨水トラブルが起こりやすい点には注意が必要です。
ここでは、陸屋根の基本的な特徴と、台風時に生じやすいリスクを解説します。
- 陸屋根は「風には強い」が「雨に弱くなりやすい」
- 陸屋根の構造と一般的なメリット・デメリット
- 台風時に起こりやすいトラブル(雨漏り・防水層の劣化・排水不良など)
順にみていきましょう。
陸屋根は「風には強い」が「雨に弱くなりやすい」
陸屋根は、屋根面が平らで高さも抑えられているため、切妻屋根や寄棟屋根と比べて風圧を受けにくい構造です。
そのため、瓦が飛散するなどの風被害は起こりにくい傾向があります。
一方で、勾配がほとんどないため雨水が流れにくく、大雨や長時間の降雨時には屋根上に水が溜まりやすくなります。
この水の滞留が、防水層の劣化や排水不良を引き起こし、雨漏りにつながるケースも少なくありません。
陸屋根の性能は、防水層の状態によって大きく左右される点を理解しておくことが重要です。
陸屋根の構造と一般的なメリット・デメリット
陸屋根は、鉄筋コンクリートの躯体の上に、防水層を施工して仕上げる構造が一般的です。
この構造により、屋根材が風で飛ばされる心配が少なく、耐風性に優れています。
また、屋上を物干し場や設備置き場として活用できる点も大きなメリットです。
ただし、屋根性能の多くを防水層に依存しているため、防水層が劣化すると雨漏りリスクが一気に高まります。
さらに、定期的な点検や防水工事が必要になるため、維持管理の手間や費用がかかりやすい点はデメリットと言えるでしょう。
陸屋根に関する、より詳しいメリットやデメリットなどの情報は、下記の関連記事をご覧ください。
【関連記事】陸屋根で後悔しないためには?メリット・デメリットを知って適切な対処をしよう!
台風時に起こりやすいトラブル(雨漏り・防水層の劣化・排水不良など)
台風時の陸屋根では、強風よりも豪雨による被害がリスクとなりやすいです。
特に多いのが、排水口の詰まりや排水能力不足によって雨水が滞留するトラブルです。
屋根上に水が溜まる状態が続くと、防水層に大きな負荷がかかり、剥離や破断が発生しやすくなります。
その結果、室内への雨漏りにつながるケースが少なくありません。
また、台風による飛来物が防水層を傷つけ、そこから劣化が進行するケースもあります。
陸屋根では、台風前後の排水状況と防水層の状態確認が欠かせません。
台風に強い屋根の形はどれ?陸屋根・寄棟・切妻をわかりやすく比較

屋根の形は、台風時の被害リスクを大きく左右する要素の1つです。
ここでは、陸屋根・寄棟屋根・切妻屋根の代表的な3形状を取り上げ、それぞれの耐風性や注意点を比較しながら、台風に強い屋根の特徴を整理します。
|
屋根の形状 |
耐風性 |
防水性 |
台風時の主な弱点 |
総合評価 |
|---|---|---|---|---|
|
陸屋根 |
◎ |
〇(△) |
排水不良・防水層の劣化による雨漏り |
風には強いが防水管理が必須 |
|
寄棟屋根 |
◎ |
〇 |
接合部の施工不良による雨漏り |
台風にもっとも強い形状 |
|
切妻屋根 |
〇 |
◎ |
風向き次第で屋根材がめくれやすい |
排水性は高いが風対策が重要 |
屋根の強さは「形状」だけでなく、施工精度やメンテナンス状況にも大きく左右されます。
特に陸屋根は、防水工事の品質が台風対策の要になります。
防水層が健全なら防水性は〇ですが、滞留しやすいためリスクが高いと言えるでしょう。
陸屋根|風には強いが雨水対策が重要

比較表で示したとおり、陸屋根は屋根面が低く平らなため、風圧を受けにくく耐風性に優れています。
一方で、勾配がほとんどない構造から、雨水が自然に流れにくい点が弱点です。
台風時には、豪雨が長時間続くことも多く、防水層や排水口の状態次第では屋根上に水が溜まりやすくなります。
その結果、防水層の劣化や排水不良が重なると浸水や雨漏りにつながります。
陸屋根を台風に強い屋根として維持するには、防水工事の品質確保と排水管理が欠かせません。
寄棟屋根|台風にもっとも強い形状

寄棟屋根は、四方向すべてに屋根面がある形状で、比較表でも示したように耐風性が高い点が特徴です。
風を一方向に受け止めるのではなく、分散させて逃がせるため、台風による屋根材のめくれや飛散が起こりにくいとされています。
このため、台風に強い屋根の代表例として住宅地でも多く採用されています。
ただし、屋根面や接合部が多くなる分、雨仕舞いの施工精度が低いと雨漏りリスクが高まるでしょう。
防水性を確保するには、丁寧な施工が重要です。
切妻屋根の特徴|風向きによっては弱点も

切妻屋根は構造がシンプルで、排水性に優れた屋根形状です。
通常の雨では水が流れやすく、防水面でのメリットがあります。
しかし、台風時には風向きによって屋根の片側に風圧が集中しやすく、耐風性に弱点が出る場合があります。
特に、風を正面から受ける面では屋根材が浮いたり、めくれたりするリスクも少なくありません。
そのため、固定金具の状態確認や棟部分の定期的な点検をおこなうことが重要です。
台風に強い屋根材は?素材ごとのメリット・弱点・耐風性を比較

屋根材の種類によっても、台風時の被害リスクや必要な対策は大きく変わります。
ここでは代表的な屋根材を比較し、それぞれの特徴と注意点を整理します。
|
屋根材 |
耐風性 |
防水性 |
台風時の主な弱点 |
総合評価 |
|---|---|---|---|---|
|
ガルバリウム鋼板屋根 |
◎ |
〇 |
固定不良による「めくれ」「浮き」 |
軽量で強いが施工品質が重要 |
|
スレート屋根(コロニアル) |
〇 |
〇 |
劣化による「割れ」「めくれ」 |
メンテ次第で差が出る |
|
瓦屋根 |
△ |
◎ |
風向き次第で屋根材がめくれやすい |
補強済みなら安定性あり |
※屋根材とは、屋根の表面を覆う仕上げ材で、耐風性や耐久性に影響する重要な要素です。
ガルバリウム鋼板屋根

ガルバリウム鋼板屋根は、金属製で軽量なため、建物全体への負担が少なく、台風時にも有利な屋根材です。
適切な施工がおこなわれていれば、強風による影響を受けにくく、耐風性の高い屋根として評価が高いです。
一方、屋根材が軽い分、固定方法が不十分だと強風時に浮きやめくれが生じやすくなります。
特にビスの緩みや下地材の劣化を放置すると、台風時に被害が拡大しやすくなります。
耐久性を保つには、施工品質の確保と定期的な点検が欠かせません。
スレート屋根(コロニアル)

スレート屋根は、軽量でコストを抑えやすく、多くの住宅で採用されている屋根材です。
台風時の耐風性は一定水準にありますが、経年劣化が進むと割れや浮きが起こりやすくなります。
塗膜の劣化や固定部の傷みを放置すると、強風によって屋根材がめくれたり、部分的に飛散したりする恐れがあります。
台風被害を防ぐには、屋根材の状態を定期的に確認し、早めに補修をおこなう姿勢が重要です。
メンテナンス状況が、被害の大小を左右します。
瓦屋根

瓦屋根は重厚感があり、意匠性に優れた屋根材です。
ただし、古い工法で施工された瓦屋根は、台風時の耐風性が十分でない場合があります。
重量がある分、ズレや落下が起こると被害が大きくなりやすい点にも注意が必要です。
一方、近年の瓦屋根は耐風仕様が進化しており、固定金具を用いた施工や補強工事によって、台風への強さが高まっています。
瓦屋根では、施工時期や固定方法を確認したうえで、必要に応じた補強の検討が重要です。
屋根材の劣化や施工不良が台風被害を拡大させる理由
台風による屋根被害の多くは、屋根材そのものではなく、劣化や施工不良が原因で発生します。
屋根材が浮いている部分や、固定が弱い箇所に風が入り込むと、めくれや飛散が起こりやすくなります。
さらに、施工精度が低い場合、想定以上の風圧が一部に集中し、被害が拡大するケースも少なくありません。
屋根材の種類にかかわらず、定期的な点検と適切な補修が、台風対策として重要です。
陸屋根の台風対策は「防水工事」が最重要

陸屋根は、形状的に風に強い一方で、台風時の被害は防水性能に大きく左右されます。
防水工事の良し悪しが、雨漏りや浸水リスクを左右すると言っても過言ではありません。
陸屋根に適した防水工法の特徴
陸屋根の防水工事には、主に下記の工法があります。
- ウレタン防水
- シート防水
- FRP防水
ウレタン防水は継ぎ目がなく、複雑な形状にも対応しやすい点が特徴です。
シート防水は均一な厚みを確保しやすく、施工品質が安定しやすい工法と言えます。
FRP防水は硬く耐久性が高い反面、下地の動きに弱い側面もあります。
台風対策では、建物の構造や劣化状況、排水計画を踏まえた工法選定が重要になるでしょう。
台風に強い陸屋根に仕上げるための防水工事のポイント
台風に強い陸屋根を実現するには、防水材の種類だけでなく、施工精度が重要です。
特に立ち上がり部分や端部処理、ドレン周りは雨水が集中しやすく、不具合が起こりやすい箇所です。
これらの部位で防水層の厚み不足や処理の甘さがあると、豪雨時に浸水リスクが高まります。
また、下地の凹凸や劣化を適切に調整せずに施工すると、防水層の耐久性が低下します。
細部まで丁寧に仕上げることが、台風対策につながるでしょう。
防水層の劣化が台風時の雨漏りリスクを高める
防水層にひび割れや剥離、浮きが発生すると、台風時の豪雨で一気に雨水が侵入しやすくなります。
特に陸屋根は勾配が小さいため、水が溜まりやすく、劣化部分が浸水の入口になりがちです。
こうした状態を放置すると、建物内部の腐食や断熱材の劣化につながり、補修範囲が広がる可能性があります。
被害を最小限に抑えるには、防水層の劣化を早期に発見し、計画的に補修をおこなうことが重要です。
台風後に必ずチェックすべきポイント

ここでは、台風後に必ずチェックするべきポイントを3つ紹介します。
- 陸屋根の防水層に現れる劣化サイン(浮き・膨れ・亀裂)
- 台風の風圧や飛来物で起こる防水層トラブル(破断・剥離)
- 雨漏りがなくても内部で劣化が進むケース
順に解説します。
陸屋根の防水層に現れる劣化サイン(浮き・膨れ・亀裂)
台風後に多く見られるのが、防水層の浮きや膨れ、細かな亀裂です。
これらは、すぐに雨漏りとして表れない場合もありますが、放置すると次の降雨で被害が一気に進行する恐れがあります。
特に陸屋根は水が滞留しやすく、小さな不具合が浸水の起点になりやすい点が特徴です。
早い段階で異常を見つけて補修をおこなえば、工事範囲を最小限に抑えられ、結果として費用負担も軽減できるでしょう。
陸屋根に多く使われている「シート防水」の浮きや膨れの原因や対処法など、詳しい情報は、下記の記事をご覧ください。
【関連記事】シート防水の浮き・膨れはなぜ起きる?原因からDIY補修の可否・プロ施工までを徹底解説
台風の風圧や飛来物で起こる防水層トラブル(破断・剥離)
台風時には、強風で飛ばされた物が屋根に衝突し、防水層が部分的に破断したり、剥離が生じたりするケースがあります。
また、風圧によって防水層が浮き、端部からめくれることもあります。
こうしたトラブルは見落とされやすく、時間が経つほど被害が拡大しがちです。
異変を見つけた場合は、応急処置で済ませず、専門業者による点検を早めに受けることが重要です。
雨漏りがなくても内部で劣化が進むケース
台風後に室内で雨漏りが確認できなくても、屋根内部で劣化が進んでいる場合があります。
防水層の下に水が入り込むと、断熱材や下地が湿気を含み、時間差で腐食やカビが発生する場合があります。
このような「隠れた劣化」は、表面からは判断しにくい点が厄介です。
被害を長期化させないためにも、台風後は目立った異常がなくても点検をおこなう意識が大切です。
台風に強い屋根に関するよくある質問

ここでは、台風に強い屋根に関するよくある質問を5つ紹介します。
- 陸屋根は台風に弱いというのは本当?
- 台風で屋根が飛ばないために日常的にできる対策は?
- 築20年以上の陸屋根は台風前に点検すべき?
- 防水工事の値段はどれくらい?
- 台風後に雨漏りがなくても点検したほうがいい?
順にみていきましょう。
陸屋根は台風に弱いというのは本当?
陸屋根は形状的に風圧を受けにくく、強風そのものには比較的強い屋根です。
一方で、勾配がないため雨水が溜まりやすく、豪雨時には弱点が表れやすくなります。
防水層の劣化や排水不良があると、台風時に雨漏りが発生しやすくなるため、防水状況と排水管理が重要な判断ポイントになります。
台風で屋根が飛ばないために日常的にできる対策は?
屋根が台風で飛ばされる主な原因は、屋根材の固定不良や劣化です。
金属屋根やスレート屋根・瓦屋根では、ビスや釘の緩み、棟板金の浮きがあると、強風で一気にめくれや飛散が起こりやすくなります。
日常的な対策としては、屋根材のズレや浮きを早めに補修し、棟部分や固定金具の状態の定期的な確認が重要です。
専門業者による点検を受けることで、台風時の被害リスクを大きく下げられます。
築20年以上の陸屋根は台風前に点検すべき?
築20年以上の陸屋根は、防水層の耐用年数を超えている可能性があります。
見た目に異常がなくても、防水層内部で劣化が進んでいるケースも少なくありません。
台風前に点検をおこなうことで、雨漏りや浸水リスクを事前に把握でき、被害を未然に防ぎやすくなります。
防水工事の値段はどれくらい?
防水工事の費用は工法や施工範囲によって異なりますが、一般的には平米あたり4,000〜9,000円程度が目安です。
劣化が進行している場合は下地補修が必要になり、費用が増える傾向があります。
早めに補修をおこなうことで、結果的に工事費を抑えやすくなるでしょう。
陸屋根の防水工事の費用に関する詳しい情報は、下記の記事をご覧ください。
【関連記事】陸屋根の防水工事の種類と費用を抑える方法・防水効果を長持ちさせるポイントを解説
台風後に雨漏りがなくても点検したほうがいい?
室内に雨漏りが見られなくても、屋根内部で浸水や劣化が進んでいる場合があります。
特に、陸屋根は防水層の下に水が回り込みやすく、時間差で被害が表面化する場合もあります。
台風後の点検は、隠れた劣化を早期に発見し、補修費を抑えるためにも有効です。
まとめ|陸屋根でも台風に強くできる!防水対策で被害を最小化しよう

陸屋根は形状的に風を受けにくく、台風で屋根が飛ばされるリスクは低い屋根です。
ただし勾配がない分、豪雨時は防水性能や排水状態が被害を左右します。
防水層の劣化や排水不良を放置すると、雨漏りや内部劣化につながりやすくなります。
株式会社翔和は、陸屋根の構造や劣化状況を踏まえた防水工事と点検を通じて、台風被害の予防と最小化に取り組んでいます。
気になる症状がある場合は、ぜひご相談ください。




