屋上やベランダの防水シートに水が溜まっているのを見つけて「施工不良かな?」と不安に感じる方は多いでしょう。
実は、水溜まりがあるからといって必ずしもトラブルとは限りません。
しかし、原因を放置すると防水層の劣化や雨漏りにつながるおそれがあります。
この記事では、シート防水に水溜まりができる主な原因や危険性、DIYでできる応急処置、そして業者に依頼すべきケースまで詳しく解説します。
防水専門業者・株式会社翔和が、現場の知見をもとにわかりやすくお伝えするので、ぜひ最後までご覧ください。
シート防水に水溜まりができるのはなぜ?|放置すると危険な理由

シート防水は耐久性に優れていますが、施工条件や環境によって水が溜まりやすくなることがあります。
ここでは、水溜まりができる原因と放置した場合のリスクを解説します。
- シート防水の基本構造と水が溜まりやすい仕組み
- 屋上・ベランダに水溜まりができる主な原因
- 水溜まりを放置するとどうなる?劣化・雨漏り・構造への影響
順にみていきましょう。
シート防水の基本構造と水が溜まりやすい仕組み
シート防水は、塩ビやゴムなどの防水シートを下地に密着、もしくは絶縁させて施工する方法です。
屋上やベランダのように平面性が高い箇所では、勾配が緩いため雨水が流れにくくなります。
特に排水口までの距離が長い場合や、表面の微妙な凹凸があると、雨水が滞留しやすく水溜まりができやすいのです。
屋根の形状やシート防水の構造自体を理解することにより、水溜まり発生の仕組みを把握できます。
シート防水に関するさらに詳しい情報は、下記の記事をご覧ください。
【関連記事】シート防水とは?メリット・デメリットや劣化した際の対処法を徹底解説!
屋上・ベランダに水溜まりができる主な原因
屋上やベランダに、水溜まりができる原因はさまざまです。
代表的なものは、勾配不足や下地の沈下、排水口の詰まりです。
また、施工時のシート貼りのムラや、膨れ・浮きが生じている箇所も雨水がたまる要因になります。
さらに、防水層の厚みにばらつきがあると、表面に凹凸ができて雨水が残りやすくなります。
このように、複数の要因が重なり、水溜まりが発生するケースも珍しくありません。
水溜まりを放置するとどうなる?劣化・雨漏り・構造への影響
水溜まりを放置すると、防水層に常に水圧がかかる状態になります。
これにより、微細なピンホール(針で刺したような小さな穴)が発生したり、シートの接着層が剥がれたりする原因となります。
さらに長期間放置すれば、下地のコンクリートや断熱材まで水が浸透し、内部腐食や雨漏りを引き起こすリスクも高まるでしょう。
シート防水は本来、雨水を流し排出する構造です。
水溜まりはその機能を妨げるサインであり、早めに原因を見つけたあとの対処が、建物の寿命を延ばす最善策です。
施工後に水溜まりができても失敗とは限らない理由

防水工事を終えたばかりの屋上やベランダで水がたまっていると、不安に感じる方も多いでしょう。
ですが、施工不良と断定するのは早計です。
正しい判断基準を知ることが大切です。
- 防水工事後でも「わずかな水溜まり」が発生するケース
- どこからが施工不良?判断の目安
- 水溜まり=施工ミスとは限らないが、放置もNG
- 施工直後に気づいたときの対応方法
順に説明します。
防水工事後でも「わずかな水溜まり」が発生するケース
防水工事を適切におこなっても、わずかな水溜まりができることはあります。
特に塩ビシート防水では、気温の変化によりシートが伸縮するため、施工時に少したわみを持たせるのが一般的です。
そのため、表面に浅い水溜まりが生じる場合がありますが、防水性能が損なわれているわけではありません。
むしろ、防水層の断水性が保たれている証(あかし)ともいえます。
すぐに、雨漏りへ直結するケースはないため、慌てず様子を確認しましょう。
どこからが施工不良?判断の目安
水溜まりがすべて施工ミスとは限りませんが、一定の基準を超える場合は注意が必要です。
目安として、水深が5mm以上あり、24時間経過しても残っている場合は要確認です。
また、排水口から遠い位置や勾配が2%未満の場所に水がたまる場合、下地や排水計画に問題がある可能性があります。
放置すると劣化や雨漏りの原因になるため、早めに施工業者へ相談するのが賢明です。
プロが現場で、勾配や排水状況を確認し、必要に応じて補修をおこないます。
水溜まり=施工ミスとは限らないが、放置もNG
軽度の水溜まりは、施工上やむを得ないケースもありますが、放置して良いわけではありません。
防水層の下地や接着層が長期間湿った状態になると、見た目では分からない内部劣化が進行する場合があります。
特に夏場の高温や紫外線の影響でシートの伸縮が繰り返されると、剥離や膨れの原因にもなります。
水溜まりを見つけたら、掃除や排水口の確認をおこない、変化がないか定期的にチェックしておくことが重要です。
施工直後に気づいたときの対応方法
施工後すぐに水溜まりを発見した場合は、慌てずに状況を記録しましょう。
まずは水溜まりの位置や範囲を写真で撮影し、数日間の経過観察が必要です。
それでも水が引かない場合や、面積が広い場合は施工業者に報告します。
保証期間内であれば、無料点検や補修対応を受けられる場合もあります。
正確な情報を伝えるためにも、発見からの経過を記録しておくとスムーズに対応してもらえるでしょう。
DIYでできる水溜まりの応急処置と補修方法

軽度な水溜まりや小さな破れは、応急的にDIYでの補修も可能です。
ここでは自分で試せる補修方法と、注意すべきポイントを紹介します。
- 屋上防水シート補修に使えるDIYアイテム
- 破れや小さな穴の補修手順|部分補修のやり方
- DIYでの補修が向かないケースとは?
- ベランダ防水工事後の水溜まりをDIYで直すときの注意点
順にみていきましょう。
屋上防水シート補修に使えるDIYアイテム
屋上やベランダの小さな破れや隙間には、市販の補修アイテムを使って応急処置が可能です。
代表的なのは、防水補修テープ・防水コーキング剤・プライマーの3つです。
補修テープは粘着力が高く、シートの継ぎ目や小さな穴をふさぐのに適しています。
プライマーは下地を密着させる下処理剤で、コーキング剤は最終的な防水仕上げに使用します。
いずれもホームセンターやネット通販で手に入るため、手軽に試せるのがメリットです。
破れや小さな穴の補修手順|部分補修のやり方
小規模な破れやピンホール程度の穴であれば、DIYでも補修できます。
手順は、以下のとおりです。
- 清掃
- 乾燥
- プライマー
- 補修テープ
- コーキング
まずは補修箇所の汚れや水分をしっかり取り除き、完全に乾燥させることが重要です。
その後、プライマーを薄く塗布して密着性を高め、補修テープを空気が入らないように貼り付けます。
最後にコーキング剤を上から塗り、継ぎ目をしっかり密閉すれば完成です。
なお、湿気の多い日や雨天直後は密着不良を起こしやすいため避けましょう。
DIYでの補修が向かないケースとは?
DIYで対応できるのは、あくまで軽度の補修のみです。
下地が沈下している場合や、防水層が大きく膨れている、勾配が不十分など構造的な問題はDIYでは改善できません。
また、一時的に水漏れを防げても、根本的な原因が残ったままだと再発の可能性が高いです。
見た目だけ整えても、内部では劣化が進行するケースもあります。
水溜まりが何度もできる場合や、広範囲にわたる破損は、専門業者に調査・補修を依頼しましょう。
ベランダ防水工事後の水溜まりをDIYで直すときの注意点
ベランダで水溜まりを見つけた場合は、まず排水ドレン周辺のゴミや枯葉を清掃しましょう。
そのうえで、小さな亀裂には補修テープやコーキング剤で応急処置が可能です。
ただし、使用する材料の施工温度や乾燥時間を守らないと、接着不良や剥がれの原因になります。
また、防水層を傷めるおそれがあるため、ワイヤーブラシなど硬い道具での清掃は避けましょう。
作業後は雨天前に十分乾燥させることが重要です。
正しくおこなえば一時的な防水効果を維持できます。
水溜まりの原因を見抜く!劣化診断のチェックポイント

水溜まりの根本原因を突き止めるには、防水層の状態を正確に見極めることが大切です。
ここでは劣化のサインや、専門業者がおこなう診断方法を紹介します。
- シート防水の劣化サインとは?
- 水溜まりの位置から原因を特定する方法
- 専門業者による劣化診断の方法とは?
- 排水ドレンや雨樋の詰まりチェック
順にみていきましょう。
シート防水の劣化サインとは?
シート防水は、経年とともにさまざまな劣化サインが現れます。
代表的なものは、膨れやシワ、色あせ、剥がれ、継ぎ目の開きなどです。
これらは、防水層の密着性が低下しているサインであり、放置すると浸水のリスクが高まります。
また、トップコートの白化や表面の汚れも初期劣化の兆候です。
これらの症状が見られる段階で点検をおこなえば、補修費用を最小限に抑えることが可能です。
日常的に状態をチェックし、小さな異変を見逃さないようにしましょう。
水溜まりの位置から原因を特定する方法
水溜まりができる位置によって、原因のおおよその見当をつけられます。
例えば、排水ドレン周辺に水が残る場合は、ゴミ詰まりや排水経路の異常が考えられます。
立上り部や外周付近なら、シートの接着不良や立ち上げ処理の劣化が原因です。
隅部で水が溜まる場合は、下地の沈下や伸縮応力による微妙な歪みの可能性があります。
このように、位置ごとの特徴を把握しておくと、業者に相談する際も原因を正確に伝えやすくなるでしょう。
専門業者による劣化診断の方法とは?
水溜まりの原因を正確に判断するには、専門業者による劣化診断が欠かせません。
株式会社翔和では、目視・打診・水張り・勾配測定など、経験に基づいた実践的な診断をおこなっています。
これにより、雨漏りが起きていない段階でも、下地の沈下や排水経路の不良など根本的な問題を把握できます。
職人が現場での状態を確認後、最適な補修方法の提案により、将来的なトラブルを未然に防ぐことが可能です。
排水ドレンや雨樋の詰まりチェック
排水ドレンや雨樋の詰まりは、水溜まりの原因として最も多いトラブルの1つです。
枯葉や砂、苔が堆積すると排水がスムーズに流れず、結果として屋上やベランダに水が残ります。
特に秋の落葉時期や花粉の多い春は詰まりやすく、年2回を目安に清掃するのが理想です。
ドレンカバーやメッシュフィルターを取り付けておくと、ゴミの侵入を防げます。
定期的なメンテナンスで、防水層の寿命を大きく延ばすことができます。
専門業者がおこなう水溜まり補修・改修工事の流れ

水溜まりが頻繁にできる、または範囲が広い場合は、専門業者による補修・改修が必要です。
- 部分補修と全面改修の判断基準
- 補修内容別の工法と費用目安
- ウレタン防水との併用(重ね塗り)で水溜まりを改善できるケース
順にみていきましょう。
部分補修と全面改修の判断基準
水溜まりの範囲や防水層の状態によって、部分補修か全面改修かの判断が分かれます。
シート防水の劣化が局所的で、接着剥がれや小さな破れ程度であれば、部分補修で対応できます。
一方、広範囲に劣化が進み、下地の勾配が不十分な場合は、シートの全面貼り替えや下地からの再施工が必要です。
現場では、職人が水の流れや排水口の位置を確認し、最適な工法を選定します。
原因に合わせた施工をおこなうことで、再発を防ぎ、防水層を長持ちさせられます。
補修内容別の工法と費用目安
補修費用は、工法や建物の規模によって大きく変わります。
小さな破れや継ぎ目の剥がれは、コーキング補修により数千円で対応可能です。
劣化が中程度であれば、部分的なシート貼り替えが必要となります。
さらに、例えば200〜300平米規模の集合住宅やビル屋上などでは、防水の全面改修で150〜300万円程度かかるケースもあります。
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補修の内容 |
主な施工内容 |
適用範囲・目安 |
費用の相場 |
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コーキング補修 |
亀裂・ピンホール部分への防水コーキング充填 |
小さな破れや継ぎ目の剥がれ |
数千円〜/箇所 |
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部分的なシートの貼り替え |
劣化部のシートを切除し、新しいシートを貼り直す |
劣化が局所的な場合 |
5,000〜7,000円/平米 |
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全面改修(再施工) |
既存防水撤去+下地調整+新規防水層施工 |
広範囲(200〜300平米規模) |
150〜300万円(塩ビシート防水の場合) |
現場の状態や勾配、使用材料によって価格は変動するため、必ず事前調査と見積もりを取りましょう。
ウレタン防水との併用(重ね塗り)で水溜まりを改善できるケース
既存のシート防水がまだ健全な状態であれば、上からウレタン防水を重ねる「複合工法」が有効です。
ウレタンは液状のため、シート表面の微妙な凹凸を埋めて勾配をつけやすく、水はけを改善できます。
また、防水層が二重構造になるため、耐久性や防水性能も向上します。
ただし、下地の劣化が激しい場合や膨れが多い場合は、この方法では対応できません。
状態を正しく見極めたうえで、最適な工法を選ぶことが重要です。
シート防水の上に、ウレタン防水を重ね塗りする場合の手順やメリット・注意点を下記記事に掲載しています。
【関連記事】シート防水の上にウレタン防水は施工可能?重ね塗りの注意点やメリット・手順を解説
水たまりを防ぐための日常メンテナンスと予防策

防水層を長持ちさせるには、日常的なメンテナンスが欠かせません。
水溜まりを防ぐための日常メンテナンスと予防策は、下記のとおりです。
- 定期清掃と排水ドレンのメンテナンス
- トップコートの塗り替えで防水層を長持ちさせる
- 専門業者による定期点検をおこなう
順に説明します。
定期清掃と排水ドレンのメンテナンス
水溜まりの多くは、枯葉やゴミが排水ドレンをふさぐことが原因です。
屋上やベランダでは、風で飛んできた砂や落ち葉が溜まりやすく、排水口の詰まりにつながります。
特に雨季前後は、清掃の習慣化が重要です。
ドレン周りをスポンジやブラシで優しく清掃し、必要に応じてドレンカバーやメッシュフィルターを設置すると、詰まりを防げます。
定期的なメンテナンスで、水はけの良い環境を維持しましょう。
トップコートの塗り替えで防水層を長持ちさせる
シート防水の表面に施されているのは、紫外線や風雨から防水層を守るトップコートです。
しかし、この塗膜は5年ほどで劣化が進み、剥がれや色あせが目立つようになります。
トップコートが傷むと、紫外線の影響を直接受けてシート自体が硬化・収縮し、水溜まりを誘発する恐れがあります。
目安として5年ごとに塗り替えをおこなえば、防水性能を長く保てるでしょう。
施工は専門業者に依頼すれば、均一で美しい仕上がりが得られます。
トップコート塗り替えに関する詳しい情報は、下記の記事をご覧ください。
【関連記事】【シート防水|トップコート塗り替えの基礎知識】塗料の種類や費用を徹底チェック!
専門業者による定期点検をおこなう
築10年以上経過した建物では、3年に一度の定期点検をおこなうのが理想です。
表面に問題がなくても、内部では剥離や下地の劣化が進行していることがあります。
専門業者による点検では、シートの密着状態や排水経路、勾配の不具合など総合的な確認が可能です。
早期発見・早期補修を徹底すれば、大規模な改修を防ぎ、結果的にトータルコストを抑えられます。
信頼できる業者に定期的な点検を依頼し、長期的なメンテナンス計画を立てましょう。
シート防水の水溜まり対策は「原因特定」が最優先!

シート防水の水溜まりは、見た目以上に防水層へ負担をかける要因です。
小さな水溜まりでも、放置すれば劣化や雨漏りへつながるおそれがあります。
まずは水溜まりの位置や範囲の確認と、原因の正確な特定が重要です。
DIYで対応できる範囲もありますが、勾配不良や下地劣化が疑われる場合は、専門業者への相談が最善です。
株式会社翔和では、豊富な経験をもとに現場状況を丁寧に診断し、建物を長く守るための最適な補修を提案しています。
ぜひ株式会社翔和へお気軽にお問合せ下さい。




