シート防水の立ち上がりで失敗しないために|納まり・工法の違い・雨漏り対策を徹底解説

シート防水の施工で、雨漏りトラブルが起こりやすいのが「立ち上がり」部分です。

立ち上がりは、平場と外壁が交わる重要な箇所であり、寸法不足や納まりの不良があると、防水層が健全でも雨水が侵入するおそれがあります。

しかし、立ち上がりの高さや正しい納まり、工法の違いについて、十分に理解しないまま工事がおこなわれているケースも少なくありません。

この記事では、主に下記の5点を解説します。

  1. シート防水における立ち上がりの基本構造
  2. 必要な寸法の目安
  3. 代表的な納まり方法
  4. 機械固定と密着工法の違い
  5. 不具合や補修の考え方

「立ち上がり」で失敗しないための正しい知識を身につけたい方は、ぜひ参考にしてください。

シート防水の立ち上がりとは?まずは基本構造と重要性を理解しよう

シート防水の立ち上がりとは?まずは基本構造と重要性を理解しよう

シート防水における立ち上がりは「平場と外壁の境目」にあたる重要な構造です。

立ち上がりの処理が不十分だと、雨漏りの原因になりやすく、防水性能全体にも大きく影響します。

まずは、立ち上がりの基本構造と役割を正しく理解しておきましょう。

立ち上がりとはどの部分のこと?

立ち上がりとは、屋上やバルコニーなどの平場から、外壁側へ垂直に立ち上げた防水シート部分のことです。

平場だけを防水しても、壁との取り合い部分に隙間があれば、雨水は簡単に侵入してしまいます。

そのため、防水層は平場で終わらせず、一定の高さまで壁面に沿って立ち上げる必要があります。

立ち上がりは、平場と一体となって防水性能を確保するための重要な部位であり、どちらか一方が欠けても十分な防水効果は得られません。

シート防水では、この平場と立ち上がりをセットで考えることが基本となります。

立ち上がりが「防水の要」といわれる理由

シート防水の立ち上がりが、防水の要(かなめ)と言われるのは、端部や外壁との取り合いが多く、雨水トラブルが発生しやすい箇所だからです。

風を伴う雨では、立ち上がりに雨水が吹き付けられ、施工精度の差が雨漏りに直結します。

さらに上端は、防水シートが終わる位置にあたり、納まり処理が甘いと浮きや剥がれを招きがちです。

防水層そのものに問題がなくても、立ち上がりの施工不良が原因で、建物内部へ水が回るケースは少なくありません。

だからこそ、立ち上がりは防水性能全体を左右するほど重要なのです。

平場(水平面)と立ち上がり(垂直面)の違い

シート防水の平場と立ち上がりは、同じ防水層でありながら、受ける影響や役割が大きく異なります。

平場は、人の歩行や設備の荷重を受けるため、耐久性や下地への影響を考慮した施工が求められます。

一方、立ち上がりは垂直面となるため、端部処理や外壁との取り合いが中心となり、雨水の侵入を防ぐ工夫が欠かせません。

この違いから、使用する工法や施工方法も、平場と立ち上がりでは異なります。

それぞれの特性に応じた適切な施工をおこなうことで、シート防水本来の性能を長期間維持できます。

シート防水の立ち上がりの高さに必要な寸法は?基準と不足時のリスク

シート防水の立ち上がりの高さに必要な寸法は?基準と不足時のリスク

シート防水の立ち上がりでは、高さの確保が防水性能を大きく左右します。

必要な寸法が不足すると、雨水の侵入リスクが高まり、早期の劣化や不具合につながりかねません。

一般的な基準寸法と、高さ不足によって生じやすいリスクを整理します。

一般的な立ち上がりの寸法

シート防水の立ち上がり寸法は、「150mm以上」がよく目安として使われます。

これは、雨の吹き込みや跳ね返りによる浸水を防ぎやすいためです。

ただし、この立ち上がり高さが、法律や国の基準で決められているわけではありません。

実際には、田島ルーフィングやロンシール工業など、防水材メーカーの施工要領や建物の形状を踏まえて判断されます。

特に既存建物では、サッシの高さや外壁の位置によって十分な高さを確保できないケースもあり、現場に合わせた調整や納まりの工夫が重要になります。

高さが不足すると発生しやすい不具合

シート防水の立ち上がりの高さが不足すると発生するのが、雨水の吹き込みや跳ね返りによる浸水リスクです。

特に風を伴う雨では、平場から立ち上がりを越えて水が侵入するケースも見られます。

また、高さが足りない状態では、防水シートに負荷がかかり、剥がれや浮きが生じやすくなります。

端部のシーリングも劣化しやすく、切れや隙間が雨漏りの原因になることが少なくありません。

こうした不具合は、防水層全体の耐久性を低下させる要因となります。

建物形状やサッシ位置による寸法の制約

建物の形状やサッシ位置によっては、立ち上がりの高さ150mmを確保できない場合があります。

サッシの下端が低く、防水シートを十分な高さまで立ち上げる余地が限られることが原因です。

さらに、笠木や外壁仕上げとの取り合いによって、物理的な制約を受けることもあります。

このようなケースでは、基準寸法に無理に合わせるのではなく、現場ごとの条件を正確に把握することが重要です。

事前の採寸と検討が、施工後のトラブル防止につながるでしょう。

高さが確保できない場合の対処(かさ上げ・笠木調整など)

立ち上がりの高さを確保できない場合には、下地のかさ上げや笠木の調整・交換などの対処法が考えられます。

下地をかさ上げすれば、防水シートを立ち上げるための余地ができます。

また笠木の交換により、必要な高さを確保できるケースもあるでしょう。

現場条件によっては、これらの方法を単独で使うのではなく、複数の対策を組み合わせる判断が必要です。

状況に応じた適切な選択が、防水性能の維持につながります。

シート防水の立ち上がり部分はどう仕上げる? 端の処理方法(納まり)を解説

シート防水の立ち上がり部分はどう仕上げる? 端の処理方法(納まり)を解説

シート防水の立ち上がりでは、防水シートの端をどう仕上げるかが、耐久性を左右します。

端部の処理方法は「納まり」と呼ばれ、雨漏りを防ぐうえで欠かせません。

ここでは、代表的な「納まり」の種類と、それぞれの特徴を解説します。

「納まり」とは?防水シートの端を雨が入らないように仕上げること

納まりとは、防水シートの端部を、どのように固定して雨水の侵入を防ぐかを示す施工上の考え方です。

シート防水では、平場の防水層が立ち上がり部分で終わるため、この端部処理が不十分だと雨水が内部へ回り込みます。

特に、立ち上がりは外壁やサッシと接するため、わずかな隙間でも雨漏りにつながりやすいです。

そのため、納まりは防水工事のなかでも最もミスが許されない工程と言えるでしょう。

ここでは、納まりの具体的な方法を3つ紹介します。

  1. 金物(押さえ金具)でシートを固定する方法
  2. 壁に切った溝にシートを差し込んで固定する方法(スリット納まり)
  3. シーリング材で端を防水処理する方法(簡易的な納まり)

順にみていきましょう。

金物(押さえ金具)でシートを固定する方法

金物による納まりは、アルミ製の押さえ金具を使って、防水シートを機械的に固定する方法です。

ビス止めによってシートを確実に押さえるため、風や温度変化による浮きが起こりにくく、高い耐久性が期待できます。

さらに、金物の上部にシーリングを併用するため、端部からの雨水侵入を防ぎやすくなるでしょう。

長期間の防水性能を重視する場合に採用されることが多く、立ち上がりの標準的な納まりとして用いられるケースも多いです。

壁に切った溝にシートを差し込んで固定する方法(スリット納まり)

スリット納まりは、外壁に溝を切り、その中へ防水シートを差し込んで固定する工法です。

シート端部が壁内部に収まるため、外部から直接雨水が当たりにくく、防水性を高めやすい点が特長です。

また、金物が表に出ないため、見た目がすっきり仕上がるメリットもあります。

ただし、外壁に加工が必要となるため、新築や大規模改修で採用されることが一般的です。

施工精度が仕上がりに直結するため、慎重な作業が求められます。

シーリング材で端を防水処理する方法(簡易的な納まり)

シーリング材を用いた納まりは、防水シートの端部をシーリングで覆い、防水性を確保する簡易的な方法です。

主に改修工事や、金物やスリットが使えない現場で採用されます。

施工が比較的容易で、工期を短縮しやすい点は利点といえるでしょう。

一方で、シーリング材は経年劣化しやすく、金物による固定と比べると耐久性は高くありません。

そのため、定期的な点検や打ち替えを前提とした運用が必要になります。

サッシまわり・笠木まわりなど複雑な形状の立ち上がりで気をつけるポイント

サッシまわりや笠木まわりは、立ち上がりのなかでも、特に取り合いが複雑な部位です。

部材が多く重なり合うため、防水シートの処理が甘いと不具合が起こりやすくなります。

こうした箇所では、防水シートの二重巻きや専用部材の使用など、細かな配慮が欠かせません。

また、納まり方法を現場ごとに検討し、無理のない施工計画を立てることも重要です。

丁寧な処理が、雨漏りリスクの低減につながるでしょう。

機械固定と密着工法の違い|平場と立ち上がりで工法が変わる理由

機械固定と密着工法の違い|平場と立ち上がりで工法が変わる理由

シート防水には、主に「機械固定工法」と「密着工法」があり、施工部位によって使い分けられます。

平場と立ち上がりでは、求められる性能が異なるため、同じ工法を一律に採用するわけではありません。

ここでは、両工法の違いと、立ち上がりで密着工法が選ばれる理由を整理します。

機械固定工法と密着工法の違い

機械固定工法は、防水シートをビスやディスクで下地に固定する方法です。

下地の影響を受けにくく、下地に多少の凹凸や湿気があっても施工しやすい点が特長といえるでしょう。

主に平場で採用されるケースが多く、改修工事でも使われています。

一方、密着工法は防水シートを接着剤で下地に貼り付け、全面を密着させる施工方法です。

シートが下地と一体化するため、立ち上がりのような垂直面でも安定しやすい傾向があります。

それぞれの工法には適した部位があり、使い分けが重要になります。

シート防水における、2つの工法のそれぞれのメリットや費用相場など、より詳しい情報は、下記記事をご覧ください。

【関連記事】シート防水の施工手順を解説!費用相場や見落としがちな劣化症状も紹介

立ち上がりに密着工法が採用される構造的な理由

シート防水の立ち上がり部分では、機械固定工法によるビス止めが難しい場面が多いです。

垂直面では、ビスの保持力が安定しにくく、施工後の浮きやズレにつながるおそれがあるためです。

その点、密着工法は接着剤によってシート全体を固定でき、立ち上がりでも安定した防水層を形成しやすくなります。

また、納まり部分との相性が良く、端部まで連続した防水層をつくりやすい点もメリットです。

こうした構造的な理由から「立ち上がりでは密着工法」が多く採用されています。

施工時に注意すべきポイント(端部処理・重ね幅など)

機械固定工法・密着工法のいずれにおいても、端部処理の精度が防水寿命を左右します。

立ち上がりでは、シートの重ね部分や端部に負荷が集中しやすく、処理が甘いと剥離や雨漏りを招きかねません。

特に重ね幅や密着範囲については、メーカーが定める基準を守ることが不可欠です。

独自判断で寸法を省略すると、防水性能が十分に発揮されない可能性もあります。

施工時には細部まで確認し、確実な処理を積み重ねる姿勢が重要です。

シート防水の立ち上がりで起こりやすい不具合と補修・改修工事のポイント

シート防水の立ち上がりで起こりやすい不具合と補修・改修工事のポイント

シート防水の立ち上がりは、建物の動きや雨風の影響を受けやすく、不具合が発生しやすい部位です。

小さな異変を見逃すと、雨漏りや大規模な改修につながる可能性もあります。

立ち上がりで起こりやすい代表的な不具合と、補修・改修時の判断ポイントは、下記のとおりです。

  • 立ち上がり部分で多い不具合の種類(剥がれ・膨れ・シール切れなど)
  • 雨漏りにつながる前兆サインと見逃しやすいポイント
  • 部分補修と全面改修の違いと判断の基準
  • 立ち上がり補修にかかる費用相場

順に解説します。

立ち上がり部分で多い不具合の種類(剥がれ・膨れ・シール切れなど)

立ち上がり部分では、建物の揺れや温度変化による伸び縮みの影響を受けやすく、防水シートの剥がれや膨れなどの不具合が起こりやすいです。

特に端の部分は力が加わりやすく、シートの浮きが発生しやすい箇所です。

また、納まり部分のシーリングが劣化すると、シール切れや隙間が生じます。

こうした端部のシール切れは、雨漏りの初期症状として現れることが少なくありません。

早い段階で気付けば、被害の拡大を防げるでしょう。

雨漏りにつながる前兆サインと見逃しやすいポイント

雨漏りの前兆として多いのが、防水シートの浮きや膨れ、端部に見られるひび割れです。

これらは外から確認できることもありますが、普段は見落とされがちでしょう。

一方、室内側にシミやカビが発生している場合、防水層の劣化がすでに進行している可能性が高まります。

表面上は小さな変化に見えても、内部では水が回っているケースもあります。

異変を感じた段階で、点検をおこなう姿勢が重要です。

シート防水の雨漏りの原因や対策、修理費用などに関する詳しい情報は、下記の関連記事をご覧ください。

【関連記事】シート防水加工済みの雨漏りの原因と対策を解説!知っておくべき修理費用や予防策も紹介

部分補修と全面改修の違いと判断の基準

シート防水の立ち上がりの劣化が軽度で、端部や一部のシール切れに限られている場合は、部分補修で対応できるケースがあります。

必要な箇所のみを直すため、費用や工期を抑えやすい点が利点です。

ただし、防水層全体が劣化している場合や、過去に補修を繰り返している場合は注意しましょう。

再発リスクが高いと判断される場合には、全面改修を検討したほうが安心です。

状況に応じた、適切な判断が求められます。

立ち上がり補修にかかる費用相場

立ち上がりを含めたシート防水工事の費用は、一般的に1平方メートルあたり5,000〜8,000円前後を目安とするケースが多く、施工面積や採用する工法によって変動します。

端部のシーリング打ち替えや小範囲の補修であれば、数万円程度で対応できる場合もあります。

一方、防水層全体を撤去して新たに施工する全面改修では、施工面積が広くなるため、総額で100万円を超えるケースも珍しくありません。

使用する工法や建物の条件・劣化状況によって費用差が生じるため、正確な金額を把握するためにも、事前に現地調査を受けたうえで見積もりを確認しましょう。

シート防水自体の費用相場やメリット・デメリットなど、詳しい情報は下記の関連記事をご覧ください。

【関連記事】シート防水とは?メリット・デメリットや劣化した際の対処法を徹底解説!

まとめ|シート防水の立ち上がりの高さと納まりは雨漏りを防ぐ最重要ポイント

まとめ|シート防水の立ち上がりの高さと納まりは雨漏りを防ぐ最重要ポイント

シート防水における「立ち上がり」は、雨漏りを防ぐうえで最も重要な部位と言えます。

必要な高さを確保し、適切な納まりをおこなうことが、防水性能を大きく左右するポイントです。

また、平場と立ち上がりで工法を正しく使い分け、端部処理まで丁寧に仕上げることが長寿命化の鍵となります。

立ち上がりの不具合は、早期発見と適切な補修が重要です。

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