ヘーベルハウスは耐久性が高いことで知られる一方、定期的にかかるメンテナンス費用が「高すぎる」という声も少なくありません。
その理由には、特殊な構造や純正部材の使用、点検と修繕のセット提案などが関係しています。
この記事では、なぜ費用が高いのかを明らかにしたうえで、定期点検の仕組みや実際の費用目安を解説します。
さらに、外注業者への依頼によって費用を抑える方法や注意点も紹介するので、ヘーベルハウスのメンテナンスに関して悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
ヘーベルハウスのメンテナンス費用が高いと言われる理由
ヘーベルハウスのメンテナンス費用が高いといわれる理由を3つ紹介します。
- 独自構造(ALCパネル)のため施工業者が限られるから
- 純正部材・専門技術が必要
- 自社点検+修繕セットで提案(見積もり)される
順にみていきましょう。
独自構造(ALCパネル)のため施工業者が限られるから
ヘーベルハウスは外壁や屋根に「へーベル」と呼ばれる独自ブランドのALCパネルを用いた構造を採用しているため、その構造上、施工には専門的な知識と経験が必要です。
※「ALCパネル」:軽くて断熱性・耐火性・耐久性に優れたコンクリート製の外壁材・床材・屋根材のこと
ALCは木造や一般的なサイディングとは異なり、下地処理や接合部の施工方法が特殊なため、一般的なリフォーム業者では対応が難しいケースもあります。
その結果、施工できる業者が限られ、価格競争が起こりにくく、費用が高くなりやすい傾向にあります。
純正部材・専門技術が必要
ヘーベルハウスでは、メンテナンス時にも純正部材の使用が推奨されています。
これにより建物の性能や保証を維持できる一方で、市販の一般部材よりも価格が高くなりがちです。
また、純正部材に対応できる施工技術も要求されるため、必然的に工賃も割高になります。
こうした「純正×専門」の組み合わせが、他の住宅に比べて高額な見積もりにつながる要因だと考えられます。
自社点検+修繕セットで提案(見積もり)される
ヘーベルハウスは、5年・10年・15年などの無料定期点検を提供していますが、その点検後に「推奨工事」として一括で修繕プランが提示されることがあります。
この際、必要な工事と将来予防の工事がセットになっているため、見積もり金額が一気に高額になるケースが多く、疑問に思う方が多いようです。
例えば10年目のメンテナンスで800万円〜1200万円近くの提案がされることもあり、それが「高すぎる」と感じられる一因となっています。(防水だけでも400万円程度が相場)
ヘーベルハウスの定期メンテナンス制度について
出典:ヘーベルハウス公式サイト
ヘーベルハウスでは、長く快適に住み続けられるように、独自の長期メンテナンス制度が用意されています。
定期的な点検と保証制度によって、住まいの性能を維持しやすい仕組みが整っているのが特徴です。
ここでは、その具体的な内容と保証期間について詳しく解説します。
- ヘーベルハウスの60年無料点検システムとは?
- 構造耐力上主要な部分の保証は30年
- 外壁塗装の仕上げ材などの保証は5年
順にみていきましょう。
ヘーベルハウスの60年無料点検システムとは?
ヘーベルハウスの「60年無料点検システム」は、建物の引き渡しから1年目、2年目、5年目、以降5年ごとに実施される無料の点検制度です。
出典:ヘーベルハウス公式サイト
ただし、点検はあくまで建物の状態をチェックするものであり、実際に劣化や損傷が発見された場合の補修作業に関しては、原則として有料となります。
そのため、定期点検を受けていても、補修が必要となればまとまった費用が発生する場合があることを理解しておきましょう。
構造耐力上主要な部分の保証は30年
ヘーベルハウスでは、建物の「構造耐力上主要な部分」に対して、初期保証として30年間の長期保証が設けられています。
具体的には、鉄骨構造の柱や梁など基本躯体に対する保証で、万が一大きな構造不良がみつかった場合でも、保証期間内であれば無償で対応してもらえます。
また、30年目に点検と補修をおこなうことで、最長60年まで保証の延長も可能です。
このように、長期にわたって住まいの基盤を守る体制が整っている点は、ヘーベルハウスの大きな魅力の1つです。
外壁塗装の仕上げ材などの保証は5年
ヘーベルハウスの外壁に使用されているALCパネルは高耐久な素材ですが、外壁塗装の仕上げ材や防水シーリングなどの仕上げ部分には5年間の短期保証が設定されています。
これらは紫外線や風雨の影響を直接受けやすく、経年劣化が避けられません。
特に築5年〜10年の間には、シーリングの劣化や塗膜の浮きなどが発生する場合があるため、点検で補修を提案されるケースが多くみられます。
保証が切れたあとは自費での補修が必要となるため、計画的なメンテナンスを意識しましょう。
ヘーベルハウスのメンテナンスの主な内容と費用の目安
ヘーベルハウスのメンテナンスは、築年数に応じて必要な工事内容や費用が変化します。
耐久性に優れる構造とはいえ、経年による劣化は避けられず、適切なタイミングでのメンテナンスが長寿命のカギを握ります。
以下では、各時期ごとに必要となる主な内容と目安費用に関して解説します。
- 築5〜10年:外壁シーリング補修や防水処理
- 築15〜20年:屋根防水・外壁塗装
- 築30年以上:大規模補修
順にみていきましょう。
築5〜10年:外壁シーリング補修や防水処理
築5年を過ぎると、外壁目地のシーリング材にひび割れや剥離などの劣化症状がみられることがあります。
この段階では、外壁目地の打ち替えや、バルコニー・屋上部分の簡易防水処理が主なメンテナンス内容となります。
目安としては、部分補修で10万〜30万円程度、外壁全体のシーリング打ち替えで50万〜80万円程度の費用がかかるケースもあります。
特にALC外壁は継ぎ目が多いため、定期的な補修が必要です。
また、10年以上15年未満の期間では、塗膜の色あせや小さなひび割れなどが現れ始め、軽微な補修や洗浄だけで対応できる場合もあります。
築15〜20年:屋根防水・外壁塗装
築15年を迎える頃には、屋根や外壁の塗膜劣化が進み、防水性能が大きく低下していることがあります。
このタイミングで屋根防水の再施工や外壁の再塗装の実施が望まれます。
費用の目安としては、屋根防水に約300万〜500万円、外壁塗装で200万〜300万円程度が一般的です。
また、20年〜30年の間には、すでに過去の補修の効果が薄れはじめ、雨漏りや躯体内部の腐食など深刻な問題が発生するケースもあるため早めの診断と計画的な工事が重要です。
築30年以上:大規模補修
築30年を超えると、これまでに実施してきた補修内容では対応しきれない箇所も増えてきます。
屋根や外壁だけでなく、バルコニー防水、開口部周辺のサッシまわり、基礎や躯体部分など広範囲にわたる補修が必要となる場合もあります。
費用は300万〜500万円以上かかることも珍しくありません。
【安くなる?】ヘーベルハウス以外の業者に依頼するのは可能?
ヘーベルハウスのメンテナンス費用に対して「高い」と感じたとき、外部業者への依頼を検討する方も少なくありません。
実際に、内容によってはハウスメーカー以外への外注も可能です。
ここでは、どの工事が外注できるのか、なぜ費用が安くなるのか、注意点とあわせてみていきましょう。
- 外壁塗装、防水工事、シーリングなどは外注が可能
- 外注業者は基本的に安くなる!その理由は?
- 外注依頼時の注意点
順に説明します。
外壁塗装、防水工事、シーリングなどは外注が可能
ヘーベルハウス独自の構造に完全に依存しない範囲の工事、例えば外壁塗装、防水工事、シーリング(コーキング)工事などは外注でも対応可能です。
特にALC外壁の塗装やシーリングは、一般的な戸建て住宅と共通する技術で施工できるため、ALC対応実績のあるリフォーム会社であれば問題なく工事を請け負ってくれます。
ただし、構造躯体や開口部など保証対象部位に関わる工事は、保証が無効になるリスクがあるため、慎重な判断が必要です。
外注業者は基本的に安くなる!その理由は?
外注業者の方が安価になる理由として、まず中間マージンが抑えられる点があげられます。
ハウスメーカーは、本部やグループ会社を経由して依頼されるケースが多く、その分コストが上乗せされやすいのが実情です。
対して、地域密着型のリフォーム会社や職人直営などの外注業者は中間マージンがかからないだけでなく、人件費や宣伝費を抑えていることが多く、施工費用を安く提供できる傾向があります。
また、資材の選定や工法の自由度が高いため、価格に柔軟性がある点も魅力です。
外注業者に依頼すると、指定業者(旭化成リフォームなど)と比べて、おおよそ20〜40%程度安くなるケースが多いです。
例えば、ヘーベルハウスの10年目のメンテナンス費用は約800万〜1200万円といわれていますが、外注業者の場合は250~300万円程度で対応してもらえる場合があります。
外注依頼時の注意点
外注業者を選ぶ際は、ヘーベルハウスの構造に対応できる実績の確認が重要です。
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特にALCパネルの施工経験があるかどうか、どのような防水工法を採用しているかは、事前にチェックしましょう。
また、見積書の内訳が明確か、アフターサービスの内容が整っているかも重要なポイントです。
さらに、外注工事をおこなったことによって、今後ヘーベルハウスの保証が一部適用外になる可能性がある点には十分注意してください。
トラブルを避けるためにも、契約前に施工内容と保証範囲の説明をしっかり受けることが大切です。
指定業者VS外注業者のメリットとデメリット
比較項目 | ハウスメーカー指定の業者 | 外注業者 |
費用 | 高め | 安くなる可能性あり |
保証 | 長期保証が継続 | 保証が無効になる場合あり |
施工技術 | ALCに精通 | 業者により差がある |
柔軟性 | 少ない(提案セットが基本) | 要望に応じて調整可能 |
外注業者を選ぶ際は、ヘーベルハウスの構造に対応できる実績の確認が重要です。
特にALCパネルの施工経験があるかどうか、どのような防水工法を採用しているかは、事前にチェックしましょう。
また、見積書の内訳が明確か、アフターサービスの内容が整っているかも重要なポイントです。
さらに、外注工事をおこなったことによって、今後ヘーベルハウスの保証が一部適用外になる可能性がある点には十分注意してください。
トラブルを避けるためにも、契約前に施工内容と保証範囲の説明をしっかり受けましょう。
こんなときは外注業者を検討しよう!
ハウスメーカーの見積もりや条件に納得できない場合は、外注業者への依頼も現実的な選択肢になります。
すべてのケースで外注が最適とは限りませんが、以下のような状況に該当する場合は、信頼できる外注業者を検討してみる価値があります。
ここでは、外注業者の検討をおすすめする3つのケースを紹介します。
- すでに保証期間外もしくは保証を延長しない場合
- ハウスメーカーの見積もりが大幅に予算オーバーしている場合
- 防水や外壁塗装など、ALC対応の実績がある外注業者が近くにいる
順に解説します。
すでに保証期間外もしくは保証を延長しない場合
ヘーベルハウスの保証は、構造躯体で30年、部位によっては5年と区切られています。
保証延長には点検や修繕が必要となるため、費用対効果を見極めたうえで「延長しない」という判断をする方もいます。
このような場合、ハウスメーカーにこだわる必要はなくなり、自由に外注先を選定できるようになります。
保証がない分、施工価格や内容を比較しやすく、コストパフォーマンスを優先した選択が可能です。
ハウスメーカーの見積もりが大幅に予算オーバーしている場合
見積もりを取った結果、想定を大幅に超える費用が提示された場合も、外注を検討するタイミングです。
特に塗装工事や防水補修などは、業者によって数十万円単位で差が出ることもあります。
複数の相見積もりを取り、費用だけでなく工事内容や保証範囲も含めて比較すれば、自分に合った業者を選びやすくなります。
最終的には金額だけでなく、信頼性や実績も重要な判断材料です。
防水や外壁塗装など、ALC対応の実績がある外注業者が近くにいる
お住まいの地域に、ヘーベルハウスと同様のALC外壁に対応可能な実績豊富な業者がいる場合は、外注の大きなメリットとなります。
特にALCパネルの塗装やシーリング工事には専門知識と技術が求められるため、過去に同様の物件を手がけた経験があるかを確認しましょう。
地域密着型の業者は対応も早く、現地調査から見積もりまで迅速に対応してくれるケースも多いため、信頼性とコストのバランスを重視するなら有力な選択肢です。
まとめ|妥協せず納得できるメンテナンスを選ぼう!
ヘーベルハウスのメンテナンス費用は、構造の特殊性や専用部材の使用、定期点検制度などによって高額になりやすい傾向があります。
しかし、点検は無料でも補修は有料である点を理解し、築年数ごとの工事内容と費用目安を把握しておけば、適切なタイミングでの対処が可能です。
また、外壁塗装や防水工事など一部の作業に関しては、ALC対応の実績がある外注業者に依頼すれば、費用を抑えられるでしょう。
保証期間外や予算オーバーの際には、柔軟な対応が必要です。
価格だけでなく施工品質や信頼性も含めて、納得のいくメンテナンス計画を立てましょう。